日本人だからうつになる (中公新書ラクレ 277)
図書館で新刊書コーナーに置いてあり目についたので借りた本。
著者も 35 歳のときからうつになり、10 年ほどの治療歴を持つ。もともとジャーナリストをやっている方なので取材活動はお手の物であろう。
プロローグには次のようにある。
第一章から第三章までは、日本のうつが置かれている現状をルポした内容で構成されている。それを受けて第四章から第六章で私なりのうつ論を展開したつもりだ。
興味深かったのは第二章~第四章。
- 診療科目の中で自殺率が最も高いのが精神科医らしい。
- 精神科医の人数が患者数に比べて少ない。
- 自衛隊もうつに悩まされているが、メンタルヘルスには力を入れている。
- 自律神経失調症という病名は日本でしか通用しない。
表題の「日本人だからうつになる」は第四章で述べられている。しかし、若干割かれているページが少なく根拠が薄いように感じる。「頑張れ」と「申し訳ない」が日本人の心の中にいつもあるという。そういう文化がうつになりやすい原因の一つではないかと著者は主張している。
同意できる内容であると思う。
本書の内容は、それはそれで良い。しかし、私がもっとも問題視しているのは、長時間労働である。あと、VDT (Visual Display Terminal) 作業も問題ではないか。
長時間労働はこれからも酷くなりそうだし、VDT 作業はさらに増えそうだ。確かにうつの原因の一つとして日本人の文化というか性格があるとは思う。しかし、それ以上に労働環境に問題が大きいと思う。この点は他国と比較することは難しいのだろうか。
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