デフォルト[債務不履行]
経済ジャーナリスト相場英雄氏初の小説。第2回ダイヤモンド経済小説大賞受賞作品。単行本はダイヤモンド社から、文庫本は角川書店からそれぞれ発行されている。
とある銀行の不良債権処理が未だに完了していないことをエコノミストが暴いた。そのエコノミストは、子会社に転籍を命ぜられ最終的にその職も失い自殺してしまう。しかし、その裏には日本銀行、財務省、金融庁、都市銀行の腐敗があった。問題となった銀行は多くの政治家の裏の金を扱っていたのである。エコノミストの死をきっかけに、親友であった新聞記者、ファンドマネージャー達が日銀の「デフォルト」を利用した復讐を企てるという物語。
第2回ダイヤモンド経済小説大賞受賞作品というだけあって、相場氏の初めての小説作品でありながら大変面白かった。ただ、「経済小説」かというと、確かにそうではあるのだが、サスペンスである部分が強い。また、amazon.co.jp のレビューで見られるように、ストーリーにご都合主義が若干感じられる。例えば、日銀総裁の秘書が主人公側にいることなどである。しかし、そのような状況を作らなければ、このような復讐を思いつき、実行するというシナリオを想起できないとも思う。
本書ではクラッカーがそこそこ重要な役回りをするのであるが、クラッカーであってもそう簡単に日銀内部のコンピュータにアクセスすることは出来ないと思う。たとえ内部に協力者が居たとしても。というか、そうであると思いたい。
結局のところ、復讐といっても法を犯せば犯罪であることには変わりがないので、仮に、それを遂げたとしても、もやもや感が私には残るのだろう。もっとも、復讐を遂げるとは限らないわけだが。
何とか法を犯さないで復讐するという術をひねり出して頂きたいのだが...難しいだろうなぁ。
本作が面白かったので相場氏の他の作品も読むつもり。とりあえず、2008 年 11 月時点では後 3 冊。
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