MM9
本書は簡単に言えばウルトラマンの世界の話。でもでも、怪獣を退治するのにウルトラマンは出てこないので自衛隊と気象庁が協力して撃退する。MM はモンスター・マグニチュードの略で、怪獣の強さ(大きさ)を表す。MM9 というのはこれまでに経験したことの無いような「神」レベルの怪獣を表している。
著者自身による解説が 山本弘のSF秘密基地 で公開されている。 それによると、怪獣は災害で、災害であれば怪獣予報などもありそうだよね。ということで、気象庁が関わっていることにしたらしい。
本書はミステリーズ!という雑誌に掲載されたものを加筆し単行本にまとめたものである。
- 第1話 ミステリーズ!vo12 2005/8
- 第2話 ミステリーズ!vol14 2005/12
- 第3話 書き下ろし
- 第4話 ミステリーズ! vol16 2006/4
- 第5話 ミステリーズ! vol18,vol20 2006/8 2006/12
MM9 は怪獣の話でぜんぜんミステリーじゃないように思われるけれど、1 冊を通して読むとちゃんと伏線も張ってあり、謎解きの側面もある。
本書を読んでいると まだ見ぬ冬の悲しみも のあとがきを思い出す。いえ、むしろ現実に起こりえないことを、大真面目に、筋道を立てて、ありそうに見えるように描くのが、SFの面白さでは無いでしょうか。
MM9 ではまさしくそれをやっているわけで。正直に言うと、最初は、「ありそうに見えない」ので読むのを止めようかなと思ったし、東京創元社凄い、よく単行本に したなぁ、risktaker だなぁと感心したけれど、通して読めば、まぁ、これはこれで良いかなと。全体として通して読めば、ちゃんと落ちもあるし完結している。連載の一遍だけを読んだ人はちょっと微妙に感じと思うけれども。
ところで、コンピュータが自意識を持つ AI の話はや人の脳をスキャンしてコンピュータ上に再現させるという話は、それほど荒唐無稽に感じないのだけれど、怪獣の話はかなり荒唐無稽に感じてしまう。この違いはどこから来るのかな?
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