クラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まった
本書は最近のバズワードである「クラウドコンピューティング」について解説した本である。同じ話題を扱った書に クラウド化する世界 がある。クラウド化する社会では、「クラウド」を過去の発電所の発達と比較して、コンピュータは自前では持たずに巨大なデータセンターで管理され、ユーザはネットワークに繋いでサービスだけ受け取るようになるということを述べている。
本書では、もう少し実務的な内容を取り上げている。Sales Force、Amazon EC2、Google App Engine、Microsoft Azure などクラウド間の比較や、クラウドを構成しているデータセンターの配置、サービスレベルアグリーメントについてなど。
クラウドコンピューティングに似た言葉として、グリッドコンピューティングとユーティリティーコンピューティングがあるが、それらとの違いについても解説されている。
現状では、クラウド間のサービスが標準化されていないから、クラウドにロックインされるという指摘は正しそうである。例えば、Sales Force 上で開発したアプリケーションはそこでしか動作しない。Google App Engine も現在は Java 版が提供され始めているが、より高機能なサービスを提供したいと思うと、Google 独自の仕様(例えば、RDBMS の代わりに JDO/JPA を利用する)に合わせないと難しそうだ。
書籍 クラウドの衝撃 | 商品案内 | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンライン に、簡単な目次とサンプルページが掲載されている。クラウドの概要を知りたい方は読んで損はない本だと思う。
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